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夢に出てくる程、会いたかった人が目の前に居る。
その状況に思わず「え、えええええ?」と変な声を上げてしまいそうになった。

ヤバい、足が、いや体が震えて止まらない・・・。

本当に会った時の事なんて考えてもいなかった。
勿論、知り合いでもない人に話しかけられる様なチャラい人間ではない。
 
私は、そういう面倒臭い人間に散々痛い目に遭っている。
 
ていうか、そんな度胸もない。でも、ここで勇気を出さなければ・・・!

とりあえず、素知らぬフリをしながら後ろに並ぶ事にした。
そして数分後、電車が来たので後ろの席にササッと乗り込む。

そう、やってる事は完全にストーカーである。

不穏な動きを察してか、席の隙間から何度もチラチラ見られたが
その度に視線をそらし続けた。

降車駅に着くまでの数十分、ただ後ろの席に座っているだけだが
同じ空間に一緒に居るというのが、私にとっては実に満たされた時間だった。

だが、このまま乗り続ける訳にはいかない。でも、もうちょっと一緒に居たい。
私は一駅だけ降車駅を乗り過ごす事にした。

そして次の駅に着き、さすがにこれ以上はダメだろうと思い
最後にチラッと彼女の方を見つつ電車を降りた。
 
「まだ乗ってるんだよなー」後ろ髪引かれる思いを抑えつつ
ホームにある地図看板をボーッと眺めていると、何と彼女も降りてきた。

そして、そのまま駅の改札へと消えていったのだった。

「それにしても、何でこんな田舎駅で降りるんだろう?」
そんな疑問を抱きつつも、私は一駅戻らなければならない。

間違いない、今日は人生最良の日だ。そんな事を思いながら帰路に着いたが
実は、この出来事は、ほんの序章に過ぎなかったのだ。

続く!

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こうしてマンガ専門学校に通う事にした訳だが
ひと月程経った頃、すでに私は辛辣な現実に打ちのめされていた。

趣味で楽しくやっている人間とガチの人間、ここには圧倒的な力量の差があった。

こういう所は本当の初心者や趣味レベルの来る所では無い。
すでに技術のある者が己の技術をひけらかしに来る場だったのだ。

趣味レベルは即落ちこぼれ、大半は登校拒否コースである。

一方、技術にかまけ他の努力を怠る者達もいる。

こういう専門学校がニート避けのダメなヤツの集まりだという話は知っていたが
こんなカラクリもあったのか・・・。そりゃ個性も伸びない筈である。

「ヤバい辛い、めげそう・・・」トボトボと下を向いて帰る毎日。

そして、いつもの様に帰り道の駅へ行き、ホームへの階段を上っている途中だった。

「えっ?」ホームで一人、電車を待っている女性を見て一瞬、固まる。

次の瞬間、脳が理解できなかったのか、はたまた運命の扉を開けてしまった合図なのか
視界が180度曲がっていくという不思議な経験をした。

そして視界が戻ってきた時、こちらを見ていたのが、そう憧れていたあの人だったのだ。

続く!

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10年以上前の事である。当時、絶賛引き籠り中だった私は
あるTV番組に夢中になっていた。

中でも、その番組の出演者である一人の女性タレントに釘付けになっていた。
彼女の頑張る姿に私は元気を貰い、そして勇気を貰った。

「一度でいい、彼女に会ってみたい・・・」この想いは次第に強くなっていく。

生きていれば、いつかは会える機会もあるだろう。
でも出来れば近い内に会いたい。この熱い気持ちを持ってる内に会いたい。
そう日々、願っていたのだ。

それから一年程経っただろうか?私は、ある決心をしていた。

「よし、マンガ専門学校に通おう」

このまま引き籠っていてはダメだ。何でもいい、少しは外に出なければ。

分かる人は分かるだろうが、見た目中高生の背の低い男子は大変である。
街を歩いてるだけで見ず知らずの人に金をせびられ殴られる。

周りの見て見ぬフリの通行人。これがウソでもない現実なのだ。

私は過去の経験から、そういうのに嫌気が差して引き籠っていたのだが
それでも出る決心ができた。それは彼女から勇気を貰っていたからかも知れない。

続く!

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これは今から数年前の寒い時期の朝、
丁度、ヒーターの効いた部屋で変態仮面を読んでいた時である。

勤め先の病院へ向かう為、そそくさと部屋を出ていく姉であったが
戸の閉め方が雑なので隙間が開いている。

部屋が寒くなるとヒーターが強くなってしまうので
残された私が戸を閉めねばならない。

しょうがないなと閉めに行く私。

数分後、忘れ物をした姉が急いで戻ってきた。
そして、また雑に閉めていく戸。強くなるヒーター。

「またかよ」そう思いつつ閉めに行く私。

そして数分後、また戻ってきて雑に閉めていく姉。

3回目~!そうアンガールズ田中の真似をしたくなる状況でそれは起こった。

「ああ、もう!」と思い、勢いよく戸を閉めかけた時、
隙間から白い手が出ていて戸を掴んでいるのが見えたのである。

ギョッとしたが、時遅し。私はその手を戸で挟んでしまった。
すると、その手は挟まれたゴム手袋の様にシュルッと出て行ってしまったのである。

私は霊と干渉してしまった。そして、その霊は戸の先に居る。

その後、何事も無かったかの様に変態仮面を読み始めようとしたが
手が震えて止まらない。

「いやいやいやいや、そんな場合じゃねえよ」私は怖くなり、すぐに隣の部屋に避難した。

変態仮面の霊、私はその霊の事をそう呼んでいる。

それ以来、戸の隙間が非常に怖く、戸を閉める時には
「はい閉めますよー」と駅員の様に声掛けをする日々が続くのであった。

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前回から更に先の事である。
TV番組「ここがヘンだよ日本人」でやっていた超能力特集。

それに出ていた超能力者が
「テレビを観ている皆さんもやってみましょう!」とスプーン曲げを始めた。

私も早速、台所からスプーンを持ってきて真似をしてみた。
そして、その人の声に合わせて深呼吸。

「息を吸ってー、吐いてー」と息を吐いた時に
持っていたスプーンが軽い力でグンニャリと曲がってしまったのだ。

非常にテンションの上がった私は、そのまま立て続けに2、3本曲げたのだが
その日はさすがに飽きたのと、あまり曲げると怒られるので止めてしまった。

そして次の日もやってみようと思ったが、コツを忘れたのか
はたまたトランス状態が切れたのか、すでに出来なくなっていた。

こういう現象、正確に言えばユリ・ゲラーの番組を観て
一緒に曲げてしまった人の事をゲラリーニと呼ぶらしい。

ちなみに芸人の、なめたらいかんぜよ。MARIという方も
まったく同じタイミングでスプーン曲げに目覚めているので

全国に、この「ここがヘンだよニホンジーニ」は沢山居ると思われる。

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