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こうしてマンガ専門学校に通う事にした訳だが
ひと月程経った頃、すでに私は辛辣な現実に打ちのめされていた。

趣味で楽しくやっている人間とガチの人間、ここには圧倒的な力量の差があった。

こういう所は本当の初心者や趣味レベルの来る所では無い。
すでに技術のある者が己の技術をひけらかしに来る場だったのだ。

趣味レベルは即落ちこぼれ、大半は登校拒否コースである。

一方、技術にかまけ他の努力を怠る者達もいる。

こういう専門学校がニート避けのダメなヤツの集まりだという話は知っていたが
こんなカラクリもあったのか・・・。そりゃ個性も伸びない筈である。

「ヤバい辛い、めげそう・・・」トボトボと下を向いて帰る毎日。

そして、いつもの様に帰り道の駅へ行き、ホームへの階段を上っている途中だった。

「えっ?」ホームで一人、電車を待っている女性を見て一瞬、固まる。

次の瞬間、脳が理解できなかったのか、はたまた運命の扉を開けてしまった合図なのか
視界が180度曲がっていくという不思議な経験をした。

そして視界が戻ってきた時、こちらを見ていたのが、そう憧れていたあの人だったのだ。

続く!

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10年以上前の事である。当時、絶賛引き籠り中だった私は
あるTV番組に夢中になっていた。

中でも、その番組の出演者である一人の女性タレントに釘付けになっていた。
彼女の頑張る姿に私は元気を貰い、そして勇気を貰った。

「一度でいい、彼女に会ってみたい・・・」この想いは次第に強くなっていく。

生きていれば、いつかは会える機会もあるだろう。
でも出来れば近い内に会いたい。この熱い気持ちを持ってる内に会いたい。
そう日々、願っていたのだ。

それから一年程経っただろうか?私は、ある決心をしていた。

「よし、マンガ専門学校に通おう」

このまま引き籠っていてはダメだ。何でもいい、少しは外に出なければ。

分かる人は分かるだろうが、見た目中高生の背の低い男子は大変である。
街を歩いてるだけで見ず知らずの人に金をせびられ殴られる。

周りの見て見ぬフリの通行人。これがウソでもない現実なのだ。

私は過去の経験から、そういうのに嫌気が差して引き籠っていたのだが
それでも出る決心ができた。それは彼女から勇気を貰っていたからかも知れない。

続く!

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これは今から数年前の寒い時期の朝、
丁度、ヒーターの効いた部屋で変態仮面を読んでいた時である。

勤め先の病院へ向かう為、そそくさと部屋を出ていく姉であったが
戸の閉め方が雑なので隙間が開いている。

部屋が寒くなるとヒーターが強くなってしまうので
残された私が戸を閉めねばならない。

しょうがないなと閉めに行く私。

数分後、忘れ物をした姉が急いで戻ってきた。
そして、また雑に閉めていく戸。強くなるヒーター。

「またかよ」そう思いつつ閉めに行く私。

そして数分後、また戻ってきて雑に閉めていく姉。

3回目~!そうアンガールズ田中の真似をしたくなる状況でそれは起こった。

「ああ、もう!」と思い、勢いよく戸を閉めかけた時、
隙間から白い手が出ていて戸を掴んでいるのが見えたのである。

ギョッとしたが、時遅し。私はその手を戸で挟んでしまった。
すると、その手は挟まれたゴム手袋の様にシュルッと出て行ってしまったのである。

私は霊と干渉してしまった。そして、その霊は戸の先に居る。

その後、何事も無かったかの様に変態仮面を読み始めようとしたが
手が震えて止まらない。

「いやいやいやいや、そんな場合じゃねえよ」私は怖くなり、すぐに隣の部屋に避難した。

変態仮面の霊、私はその霊の事をそう呼んでいる。

それ以来、戸の隙間が非常に怖く、戸を閉める時には
「はい閉めますよー」と駅員の様に声掛けをする日々が続くのであった。

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前回から更に先の事である。
TV番組「ここがヘンだよ日本人」でやっていた超能力特集。

それに出ていた超能力者が
「テレビを観ている皆さんもやってみましょう!」とスプーン曲げを始めた。

私も早速、台所からスプーンを持ってきて真似をしてみた。
そして、その人の声に合わせて深呼吸。

「息を吸ってー、吐いてー」と息を吐いた時に
持っていたスプーンが軽い力でグンニャリと曲がってしまったのだ。

非常にテンションの上がった私は、そのまま立て続けに2、3本曲げたのだが
その日はさすがに飽きたのと、あまり曲げると怒られるので止めてしまった。

そして次の日もやってみようと思ったが、コツを忘れたのか
はたまたトランス状態が切れたのか、すでに出来なくなっていた。

こういう現象、正確に言えばユリ・ゲラーの番組を観て
一緒に曲げてしまった人の事をゲラリーニと呼ぶらしい。

ちなみに芸人の、なめたらいかんぜよ。MARIという方も
まったく同じタイミングでスプーン曲げに目覚めているので

全国に、この「ここがヘンだよニホンジーニ」は沢山居ると思われる。

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前回の件から数か月後の事である。
開店セール中の東急ハンズを物色していたら面白い物を見つけた。

ESPカード カラー 2000円 超能力を鍛えるカードです。

そう、テレビでもよく見かけるアレだ。

開発講座のキットにも、ちょっとしたのは付いていたが
トランプメーカー製の丁寧な作り、かっこいいプラスチックケース、
面白い説明文、高いとはいえ手に取るのにそう時間はかからなかった。

家に帰り、早速姉にちょっとやってみませうか?と問うてみた所
余り良い反応は得られない。

そこで一緒に買ってきたフリーズドライ枝豆を餌にする事で
見事、実験に付き合って貰う事に成功した。

方法は簡単。5種類のカードを持って背中合わせに向き合い、
姉が一枚選んで送ってくる図形を私が当てるという物だ。

早速始めてみたが、どうにも図形は浮かんでこない。
私にテレパシー能力は無かったのだろうか?

とりあえず適当なカードを出してみた所、
姉は「はい、ハズレー!」と言い、さっさと実験を止め
読みかけのジャンプを読み始めてしまった。

そう、軽くあしらわれたのである。

「ねえ頼むから一回、真面目にやって」
そう頼み、もう一度実験に付き合って貰う事になった。

すると、今回は違った。何となく〇だと分かるのである。

〇のカードを出してみた所、姉は一瞬きょとんとし
「はい、当たり」と言い再びジャンプを読み始めた。

少し興奮した私は、もう一回だけと頼み込み、実験を続けた。

そして今度は、より集中する為に目を閉じてみる。
すると目の前に星の図形が浮かんでおり、水紋の様に広がっていくのだ。

星を出してみると「えっ、何で当たってるの?」と驚く姉。

そして「今度はこっちがやってみるから」と四角を送ってみた所
最初は分からなそうだったが「あっ、分かったー!」と四角を出すのである。

私が「怖いねー」と漏らすと「うん、怖い」と言い
すぐにジャンプを読み始める姉であったが内心ビクビクだったであろう。

透視の場合は極端に運が良かっただけじゃないか?
という気がしてしまってイマイチ実感が湧かなかったが、

今回は実際に見えてしまってる訳で、超能力という感覚がものすごく強い。
世間的には無いとされてる物が普通に存在してるのである。

世の中には隠されてる事実が沢山ある。
その事に恐怖し、3日程ドキドキしながら過ごすのであった。

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